― 許可ではなく「課題解決」を考える ―
行政書士として仕事をしていると、どうしても「許可取得」という手続きに目が向きがちである。
建設業許可、宅建業免許、風営法許可。
行政書士の業務には、さまざまな許認可の取得手続きがある。
しかし、改めて考えてみると、相談者の目的は許可そのものではない。
許可はあくまで手段に過ぎない。
相談者が本当に求めているのは、何らかの課題の解決である。
手段が目的化してしまう危うさ
僕は、どうしても近視眼的になりやすい。
「許可を取る」
「書類を作る」
こうした手段が目的化してしまう。
なぜそれが問題なのか。
それは、相談者の真の目的が見えなくなるからだろう。
もし目的と手段がズレていても、そのことに気づけなくなる可能性がある。
例えば、相談者の課題解決に必要な方法が
- 行政手続きではない
- 別の専門家の領域である
- 経営の問題である
というケースもあるだろう。
しかし、僕のように行政手続きしか見えていなければ、
そうした提案はできない。
結果として、相談者のためではなく、
自分の仕事のために仕事をしてしまうことになる。
相談者は気づかないかもしれない。
しかし長期的には、じわじわと確実に、僕の競争力の低下につながっていくのだろう。
ニーズとウォンツを見る
ある経営相談に長けた方に、「ニーズとウォンツを考えることが重要」とお聞きした。
すでに顕在化したウォンツ、
つまり「許可を取りたい人」だけを相手にしていると、どうなるか。
当然ながら、同業者との競争になる。
そうなると、行き着く先は価格競争だろう。
価格競争に巻き込まれるビジネスは安定しない。
でもどうすればよいのか。
きっと、顧客を自分で掘り起こすことが必要なのだろう。
つまり、
「あなたしか頼める人がいない」
「報酬もお任せします」
というような関係性を作ること。
顧客を掘り起こすには
でも顧客を掘り起こすとは、どういうことだろうか。
それは、
想定顧客の困りごとを理解しておくことなのだろう。
困りごとを引き出すことができたとき、
相手は「この人にお願いしたい」と思うから。
自分の状況をここまで理解してくれる人に
仕事をお願いしたいと思うのは自然なことである。
一人で課題解決する必要はない
しかしここで、ふと思う。
自分のような行政書士が
そこまで高度な課題解決などできない。
建設業界の問題、
経営の問題、
税金の問題、
労務の問題。
自分一人で解決できるはずがない。
そしてここで気づく。
それでいいのかもしれない。
一人で全部解決しなければならないと考えるのは、
むしろ思い上がりかもしれない。
誰かの力を借りればよい。
- 税理士
- 社会保険労務士
- 司法書士
- 不動産業者
- 金融機関
- 経営者仲間
世の中には、それぞれの分野の課題解決のプロがいる。
自分もそのうちの一人に過ぎないのだ。
行政書士として、
行政手続きの分野で課題解決を支援する役割を担っているだけなのである。
行政書士の本当の仕事
では今、自分にできることは何だろう。
それは、
課題解決のプロとの協力体制を作ること
だと思う。
自分を中心に据えたとき、
- この分野ならこの人
- この問題ならこの人
というネットワークを持っておくこと。
そのために必要なのは、
- 人を知ること
- 人と話すこと
- 信頼関係を作ること
である。
そのための行動は、無理をする必要はないが、少しずつでも確実に進めたい。
では困っている人はどこにいるのか
でも、ここでもう一つ疑問が出てくる。
そもそも、
困りごとを引き出す相手はどこにいるのか。
僕の目の前に、
自分の課題がまだ分かっていない人が、わざわざ向こうから来てはくれないだろう。
それは当然である。
課題がはっきりしている人は、
すでに行政書士を探している。
だからこそ、
自分から出会いに行かなければならない。
例えば
- セミナー
- 商い交流会
- 異業種交流会
こうした場で発信することが必要なのだろう。
そのときの自己紹介が
「行政書士です」
「許認可専門です」
では弱いのだということが、ようやく少し分かってきた。
聞いた相手は
「ふーん」で終わってしまう。
それは、すでにウォンツがある人にしか響かないからだ。
潜在的な顧客を探す
僕たちが探したいのは、
潜在的な顧客である。
その人たちは、まだ「許可が必要」とは思っていない。
しかし、
- 事業を広げたい
- 元請と取引したい
- 法人化したい
- 人を雇いたい
そうした悩みは何かしら持っているだろう。
その課題を体系化し、
困りごとを聞き出し、
解決手段(解決してくれそうな人)を提案(紹介)する。
たぶん、
直接行政書士業務につながる人はそう多くないだろう。
しかし、それでいいのだと思う。
その輪の中にいる人が
また別の仕事を持ってきてくれるはずだからだ。
こうして考えてみると、
行政書士の仕事は、
単なる許認可業務ではない。
人と人をつなぎ、
課題解決のきっかけを作る仕事なのかもしれない。
まだまだ勉強中ではあるが、
こうした視点を持ちながら
日々の仕事に向き合っていきたいと思う。





