行政書士として開業して間もない頃、問い合わせをいただきたい気持ちとは裏腹に、問い合わせがくることに不安を感じることが少なくありません。
本稿では、私自身が開業初期に感じていた「問い合わせの不安」の正体を整理したうえで、現在実践している問い合わせ時の対応フローを記します。これはあくまで一例であり、正解を示すものではありませんが、開業間もない方の参考になれば幸いです。
開業初期に感じる不安の正体
開業当初に感じる不安の多くは、突き詰めると非常に単純で、
やったことがないから不安
という一点に集約されるように思います。
経験がないため、
- 相談者に不慣れな対応を悟られたくない
- うまく説明できず、信頼を損なうのではないか
といった心理が働きます。
私は開業当初、この不安を解消する十分な経験も方法も持ち合わせていませんでした。しかし、「やったことがないこと」を具体的に分解し、その手順を整理することで、不安はかなり軽減できると感じています。
「やったことがないこと」を分解する
漠然と考えれば、開業初期は「すべてが未経験」です。しかし、実務を進める中で不安の中心を分解すると、それは次の一点に集約されます。
問い合わせを受けた際、どのように顧客対応を進めればよいのか
業務知識そのもの以上に、問い合わせ後の流れが見えていないことが、不安の大きな要因でした。
そこで以下では、私自身が現在行っている問い合わせ後の対応フローを整理します。
私が実践している問い合わせ後の対応フロー
① 問い合わせ時は目的(WHY)を確認する
最初の問い合わせでは、許可や届出そのものではなく、その先にある目的を確認します。
- なぜ許可を取得したいのか
- 許可取得後、どのような事業を行いたいのか
許認可はあくまで手段であり、目的ではありません。この段階では、細かな要件確認よりも、事業の全体像を把握することを重視しています。
② 連絡手段を明確化する(LINEの活用)
受任の可否にかかわらず、早い段階で連絡手段を確保します。
私は、相談者にSMS(ショートメール)で公式LINEのリンクを送付し、LINEでの連絡が可能な状態を整えています。連絡手段を一本化することで、双方の負担を軽減できます。
③ 業務内容の確認とお問い合わせフォームの作成
例えば、問い合わせ後、1〜2日程度の時間をいただき、関連法令や実務書で業務内容を確認します。
そのうえで、申請に必要となる基本情報(氏名、法人名、住所、経歴等)を整理し、Googleフォームを用いてヒアリングフォームを作成します。ヒアリングフォームが完成したら、LINEにリンクを送信します。
口頭での聞き取りではなく、文書で情報を整理することで、確認漏れを防ぎやすくなります。
④ フォーム回答をもとに受任可否を判断
相談者がインターネット上でフォームの回答を行ったら、その内容を確認し、
- 受任可能か
- 見積作成に進めるか
を判断します。内容によっては、この時点で受任を見送る判断をすることもあります。
⑤ 受任可否・スケジュール・見積の提示
LINEを用いて、
- 受任の可否
- おおまかな業務スケジュール
- 見積書(可能な場合)
を提示し、正式な依頼の意思確認を行います。
⑥ 受任後の書類収集と進行管理
正式受任後は、必要書類一覧を送付し、
- 依頼者に準備いただく書類
- こちらで取得する書類
- 提出期限
を整理します。原則として、まずはLINEで画像やデータを共有してもらい、原本が必要なもののみ後日対応します。
LINE中心の業務進行について
LINEを業務で使用することに抵抗を感じる方もいるかもしれません。しかし、
- かつては「訪問が基本」の時代
- 次に「電話が基本」の時代
- その後「メールが基本」の時代
と、ビジネスのコミュニケーション手段は常に変化してきました。
相手が違和感を覚えないのであれば、LINEを活用すること自体に問題はないと考えています。
不安は能力不足ではなく、経験不足
開業初期に感じる不安は、能力の問題ではなく、ほとんどが経験不足によるものです。
問い合わせ後の流れを事前に整理し、型を持っておくことで、不安は大きく軽減できます。
現在の私の感覚を一言で表すなら、
電話で「詳細は、のちほどLINEでご連絡します」の時代
開業初期の不安に直面している方の参考になれば幸いです。





