行政書士開業編

開業準備の中で気づいた「専門特化」と「柔軟性」のバランス

令和7年6月に行政書士として開業予定の私は、業務内容を「建設業許可」と「農地転用」に絞ってスタートする方針で準備を進めてきました。
理由は明確です。ある著名な行政書士の著書に影響を受けたからでした。

その方は、開業当初にさまざまな業務に挑戦した結果、心身ともに疲弊し、「単価が安く、手間ばかりかかる業務も多く、忙しいわりに収入が伸びなかった」という苦い経験をされたそうです。
その反省から、「初めから専門を絞って取り組んだ方がよい」と説かれており、私もこの考え方に深く共感しました。

思わぬアドバイス

ところが先日、倫理法人会の商い交流会で、意外なご意見をいただきました。

「最初は業務の間口を広くして、いろんな業務に挑戦した方がいい。幅広く助言できる行政書士の方が、依頼者からも信頼されやすいですよ。」

確かに、遠回りに見えても、さまざまな業務を経験することで得られる知識、人脈、視点は、その後の専門性にも深みを与えてくれるはずです。
一見「無駄」に見える経験が、実は大きな財産になることもあるでしょう。

自分に合ったスタイルを求めて

とはいえ、現実問題として、私には限られた時間と体力、そして何よりも大切にしたい家族との時間があります。
手を広げすぎて心身のバランスを崩してしまっては、本末転倒です。

そう考えると、専門分野に絞って丁寧に取り組むスタイルが、今の自分には合っている──そんな思いにも至りました。

経営者視点からの学び

さらに、ある建設業者の方からはこんな言葉をいただきました。

「行政書士に依頼しても、建設業許可の申請は結局こちらが大量の資料を準備しなきゃいけなくて、大変なんですよね。」

この言葉にはっとさせられました。
たとえ申請書をこちらで作成しても、依頼者が「楽になった」と実感できなければ意味がありません。
いかに相談者の負担を減らすか。ここにこそ、自分なりの価値提供の鍵があると再認識しました。

また、「外注するメリットを数値で示すべき」というアドバイスもありました。
例えば、自社の社員が不慣れな手続きにかかる時間×時間単価を算出し、私に依頼した場合と比較できるようにする。
こうした視点を持つことが、信頼や納得感につながるのだと学びました。

自分の軸を持ちながら、柔軟に

大切なのは、自分の軸を持ちつつ、周囲の声に耳を傾け、柔軟に修正できる余白を残しておくことだと思います。

専門分野に絞る方針は、私自身が考え抜いた結果であり、今の自分にはしっくりきています。
ただし、それが唯一の正解ではないことも、忘れずにいたいです。

経験を重ねる中で、必要に応じて少しずつ業務の幅を広げていく。
そんなふうに、自分に無理のないペースで成長していけたら──今は、そう思えるようになりました。

最後までお読みいただき、ありがとうございました。

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