行政書士開業編

【行政書士開業編】「行動」が思わぬ形で芽を出した

開業して数ヶ月。異業種交流会などで名刺交換した方は延べ100人超。フェイスブックでも繋がりができたのに、仕事の話は一度も来なかった――その理由と、そこから一歩踏み出して得られた「信頼」の手応えについて記す。

信頼は「行動」から生まれる

開業当初の僕は、名刺交換やSNSのつながりが増えれば仕事につながると考えていた。しかし現実は違った。
今ならはっきり分かる。相手にとって、僕はまだ「名前を知っているだけの人」に過ぎなかったのだ。

看板に守られていた20年間

僕は20年間、地方公務員として市役所で働いてきた。
振り返れば、「自治体の信用=自分の信用」とどこかで思い込んでいたのだと思う。
独立した今、残るのは「自分」という一個人の信用だけ。ゼロから築き直す必要がある現実を、開業して初めて痛感した。

「知っている人」から「信頼できる人」へ

名刺交換とSNSはスタートラインに過ぎない。そこから信頼へ進むには、時間行動がいる。
名刺交換しただけの人脈、ホームページ、それだけで集客できることを期待していた僕は自分の認識の甘さを痛感し、まずは信頼関係のある人脈を増やす方向に舵を切る――そう決めた。

学生時代から見てきた“大先輩”の事務所へ

学生の頃から近所で行政書士事務所を構え、地元で長く信頼を積み重ねてこられた大先輩がいる。
数日前、県庁の建設業許可窓口で偶然お会いして名刺交換をしたことをきっかけに、思い切って事務所を訪問することにした。

正直に言えば、僕は人見知りだ。初対面の方と話すのは得意ではない。
それでも「行動しなければ何も始まらない」と自分に言い聞かせ、勇気を出して伺った。

信頼は、相手に求めるものではなく、自分から築きに行くもの。

まいた“行動の種”が、思わぬ形で芽を出す

訪問から数日後、その大先輩からお電話をいただいた。
「ちょうど今、手が回らない案件があるからお願いしたい」とのこと。
驚きと同時に、胸が熱くなった。新人の僕を気にかけてくださったのだと思う。
だが、もし先日の訪問で「信頼できない、頼りない。」と思われていたら、この話はなかったはずだ。
一時間足らずの訪問でも、少しは信頼していただけた――その事実が何より嬉しかった。

本当の信頼は“結果”で返す

もちろん、喜んでばかりはいられない。本当の信頼は、今回の案件をきっちりやり切ることでしか得られない。
「やってみましたができませんでした」では済まされない。行政書士の看板を背負う以上、新人もベテランも責任の重さは同じだ。
まずは目の前の案件を完遂する。積み重ねた結果の先に、次の案件が見えてくる。

信頼の第一歩は「行ってみること」

今回のご縁は運が良かった面もある。同じように悩む方が、すぐに仕事を紹介してもらえるとは限らない。
それでも一つ、確かなことがある。
信頼は、行動からしか生まれない。

もし同業・他士業の先輩方と名刺交換する機会があったら、ぜひ勇気を出してこう声をかけてみてほしい。

「今度、事務所にお邪魔してお話しを聞かせていただけないでしょうか?」

緊張する。不安もある。でも本当に行ってみることだ。そして、相手の苦労話などを聞くといいと思う。その一歩が、信頼の種をまく行動になる。
僕もまだ道半ば。今日もまた一歩ずつ、種をまき続けていきたい。