行政書士実務講習

    公務員が無試験で行政書士資格を取得できる要件

    現役公務員しんです。行政書士開業を目指しています。

    私が行政書士に興味を持ったきっかけの一つに、公務員から行政書士になれる「特認制度」というものがあります。

    どうやら、この特認制度なるものを利用すれば、試験を受けることなく行政書士資格を取得できるらしいです。

    そこでこの記事では

    • 「現役公務員19年目の自分は、本当に無試験で行政書士になれるのか?」

    という自分の疑問に向けて

    • 行政書士の特認制度(公務員から行政書士になれる)

    について調べてみました。

    (行政書士法第2条) 

    次の各号のいずれかに該当する者は、行政書士となる資格を有する。 

    一 行政書士試験に合格した者 

    (略) 

    六 国又は地方公共団体の公務員として行政事務を担当した期間(略)が通算して二十年以上(学校教育法による高等学校を卒業した者(略)に規定する者にあっては十七年以上)になる者 

     この第六項の規定によれば、大卒程度で採用され、公務員歴17年以上の職歴がある私は、行政書士試験を受けなくとも、行政書士資格を得ることができそうです。 

     ただし、いくらこの条件を満たしていても、公務員在職中は行政書士資格を取得することはできません。 

     これは、そもそも公務員は法律で営利目的での副業が禁止されており、営利を目的とする行政書士業と兼業することは地方公務員法に抵触します。ですので、あくまで公務員を退職した後に、行政書士資格を取得せねばならないことがわかりました。 

     ただ、20年近い公務員の職歴があるとはいえ、行政書士試験の出題範囲の知識もないままに、行政書士業を始められるのかという不安は残ります。 

    試験を突破した人は、おそらく数百時間を勉強にあてて合格されています。一方で自分は公務員という職歴があるということで行政書士になれる。   

    この両者には圧倒的な知識の差があって、自分はきっと後で大変な苦労をするのではないかという点は気掛かりです。 

     そこで、行政書士試験科目はどんなものだろうと調べてみたました。以下のとおりです。 

    「行政書士の業務に関し必要な法令等(46題)」 

    憲法、行政法、行政手続法、行政不服審査法、行政事件訴訟法、国家賠償法、地方自治法、民法、商法、基礎法学 

    「行政書士の業務に関連する一般知識等(14題)」 

    政治、経済、社会、情報通信、個人情報保護、文章理解 

     上記の出題範囲と行政書士の実務との関連については、行政書士に関する書籍を何冊か読んだ結果、多くの著書で「行政書士は、試験と実務が乖離している」という点で共通していました。 

     どういうことか。行政書士試験の主要科目は憲法、民法、行政法等のいわゆる一般法です。    

     ところが、行政書士の核心業務である許認可申請業務は、別個の特別法に規定されているとのことです。

     そのため、行政書士試験をクリアしただけでは、実務はこなせないということでした。これは、行政書士試験合格者にとっては厳しい現実ではありますが、私にしてみれば、少なくとも実務面に関しては、試験合格者と同じスタートラインに立っているとも言え、幾分気持ちは楽になりました。