~行政書士が知っておくべき「人・モノ・金」の話~
はじめに
建設業許可の学習を進める中で気づいたのは、「許認可手続きには型(かたち)がある」ということです。
役所が何を審査しているのか、その本質を知ることで、建設業許可だけでなく、他の許認可の理解にもつながります。
1. 許認可の審査は「人・モノ・金」
どんな許認可にも共通して言えるのは、役所は申請者の「人・モノ・金」をチェックしているということです。
- 人:経営業務の管理責任者や専任技術者の資格・経験
- モノ:営業所、事務機器、車両などの設備
- 金:財務基盤(自己資本や直前決算の内容など)
これは建設業だけでなく、産業廃棄物収集運搬業や宅建業でも同じ。審査のウェイトや基準は違えど、「人・モノ・金」が揃っているかを見られているのです。
2. 所定様式よりも、証拠書類集めが難所
建設業許可では、申請書自体はフォーマットに沿って記入すればそこまで難しくありません。
一方で、証拠書類の収集(たとえば登記事項証明書、納税証明、資格証明など)が大変です。
これらの書類は「客観的に証明できる情報」であり、役所が最も重視する部分です。証拠が出せなければ、どんなに立派な申請書を書いても通りません。
3. 許認可の基礎資料は「共通化」されている
興味深いのは、建設業許可に必要な証拠書類の多くは、他の許認可申請でも使い回せるという点です。たとえば:
- 定款、登記簿 → 宅建業や産廃業でも使用
- 決算書 → 法人としての健全性を証明するために必須
- 営業所の写真や物件契約書 → 事務所の実態証明に共通
だからこそ、周辺業務にも対応できる行政書士に依頼すると、相談者側は書類を何度も集め直さずに済みます。これは「スイッチングコストの削減」という大きなメリットにつながります。
4. 建設業許可は更新制。だから「次回」がある
建設業許可には5年ごとの更新制度があります。
つまり、申請を一度担当すれば、次回の手続き時期を事前に把握できる=継続的な関係構築が可能です。
許可期限を管理しておき、更新の3〜6ヶ月前に案内を出せば、顧客満足度は確実に上がります。
5. 建設業許可を扱うなら、司法書士とも連携を
実務上、建設業許可とセットで法人設立の相談が来ることは少なくありません。
行政書士は法人登記そのものは扱えないため、信頼できる司法書士との連携体制を作っておくことが重要です。
「法人設立→建設業許可→経審→入札」までの流れを一貫して支援できると、顧客から感謝されます。
おわりに
建設業許可を学び始めたことで、許認可手続きの「型」や「共通点」が見えてきました。
単に一つの手続きを覚えるだけでなく、それが他の業務や支援にもつながるという視点を持つことで、行政書士としての幅も広がります。
今後もこうした学びを、ブログで発信していきます。