はじめに:この記事で伝えたいこと
行政書士として独立・開業を目指す現役公務員の方へ。
「退職したら公務員年金で老後も安心」──そう思っていませんか?
僕自身、市役所を20年で退職し、行政書士として独立する道を選びました。
その際に、市町村職員共済組合から届いた「退職等年金給付(年金払い退職給付)」の通知書を見て、正直なところ、「これだけ?」と感じたのが本音です。
今回は、年金通知書の内容と、将来の年金のイメージ、そして退職後に備えておきたいことをお伝えします。
年金払い退職給付とは?
地方公務員が退職した際、各県市町村職員共済組合から支給される「退職等年金給付」は、いわば公務員独自の年金制度の一部です。
- 毎年、現役職員には「給付算定基礎額残高通知書」が届く
- 退職者には、退職時や節目年齢(35歳・45歳・59歳・63歳)に届く(各保険者で異なる)
これには、在職中の標準報酬月額、退職年金の付与額、利息などが記載されており、最終的な給付のもとになる「給付算定基礎額残高」が記録されています。
僕の通知書の内容(実例)
僕の場合、通知に記載されていた「給付算定基礎額残高」は約95万円でした。この金額が、将来支給される年金の“原資”となります。
- 終身退職年金算定基礎額:約47.5万円(95万円の1/2)
- 有期退職年金算定基礎額:約47.5万円(残りの1/2)
実際の支給額は、この基礎額をもとに年金原価率を用いて除して算出されます。
現在の仮試算によれば、
- 終身退職年金額(年額):概算 約2万円/年
- 有期退職年金額(年額):概算 約2万円/年(20年または10年間)
※詳細な算定は、退職年度の原価率や制度変更の影響もあるため、最新の情報は全国市町村職員共済組合連合会HPをご参照ください。
公務員がもらえる年金は“3階建て”
実は、公務員が退職後にもらえる年金には「3つの階層」があります。
区分 | 内容 | 備考 |
---|---|---|
① 国民年金(老齢基礎年金) | 全国民共通。原則65歳から支給 | 満額で年額約80万円程度 |
② 厚生年金(旧・共済年金) | 給与に比例して支給 | 公務員時代の報酬月額に応じて決まる |
③ 退職等年金給付 | 共済組合の独自給付 | 給付算定基礎額に基づき支給(年額数万円) |
つまり、今回ご紹介している③退職等年金給付は「上乗せ年金」であり、主役はあくまで②の厚生年金です。
国民年金・厚生年金と合わせたらどうなる?
これまでの加入実績(勤続20年)に応じた公務員共済期間に係る年金見込額は、
①老齢厚生年金 約59万円/年
②老齢基礎年金 約41万円/年
これにさきほどの
③退職等年金給付(約4万円/年)を合わせても 年間104万円(汗)
退職後は国民年金(第1号被保険者)に加入するので、厚生年金の上積みは望めません。
そこで、僕は現在、iDeCoで老後資金を積み立てています。
しかし、「これだけで安心」とは言い難い状況です。
今後、厚生年金に再加入する可能性も?
将来的に行政書士業を法人化すれば、厚生年金(第2号被保険者)に再加入する道もあります。
現時点では未定ですが、今後の働き方次第で再び厚生年金に加入する可能性はあります。
現役公務員へ:知っておきたい「退職後の現実」
僕自身、公務員時代は「共済年金があるから大丈夫」と思っていました。
でも、退職してみると予想以上に少ないのが実感です。(いただけるだけでも非常にありがたいことですが…)
- 退職等年金給付は「思ったほど多くない」
- 年金だけでは足りない可能性が高い
- 自分で備える力(貯蓄・iDeCo・副収入など)を持っておくことが重要
まとめ:年金通知は“現実”を教えてくれる手紙
公務員を辞めて行政書士になるという選択は、自由とやりがいにあふれる一方で、
老後資金という面では自己責任の世界になります。
通知書が届いたら、ぜひその金額を見て「自分はこの先どう備えるか?」を考えてみてください。