〜現役公務員が学んだ、独立に向けて準備しておくこと〜
こんにちは。
熊本市役所に20年間勤め、令和7年6月に行政書士事務所を開業予定のシンです。
今回は、これまで長く組織に属してきた方――現役の公務員や会社員の方に向けて、
「独立して個人事業主になるとはどういうことか?」
「何を準備しておくべきか?」
そんな疑問に少しでもお応えできればと思い、この記事を書いています。
私自身、数年前までは「独立なんて自分にできるのか…?」と不安でいっぱいでした。
でも、知識を集めて備えることで、その不安は少しずつ解消されていきました。
今回は【個人事業主1年目の心得】として、開業前に知っておいてよかったことを紹介します。
1.ホームページは「問い合わせフォームがあればOK」
まずはここから。個人事業の世界では、「完璧なHPを作ってからスタートしよう」と思いがちですが…
- 初年度はまだ業務内容が定まっていない
- 時間が経てば何度もHPは作り直すことになる
- 外注すれば高額、かといって丸投げでは方向性がブレる
- 最低限のWeb知識はあった方が良い
こうした理由から、開業時はWordPressなどを使って、シンプルな「問い合わせフォーム付きHP」で十分です。まずは形にすることが大切ですね。
2.「過去の実績」よりも「今の専門性」が重要
独立後に一番問われるのは、「今、何ができるのか?」ということ。
- 「〇〇市役所で○○課にいました」では通用しない
- 公務員という肩書きは、独立後には無効
- どんな課題を、どう解決できるのか?が鍵になる
だからこそ、今のうちから「何を専門にするか?」を明確にし、そこに知識と経験を集中投下しておくことが大切です。
3.名刺には「事業目的」を入れる
名刺はただの連絡先ではなく、「想いを伝えるツール」になります。
- 会話のきっかけになる
- 仕事だけでなく、「仲間」を集めるきっかけになる
- 「その想い、応援したい」と共感してもらえることもある
たとえば、「許認可支援を通じて日本の社会問題を解決する」などと入れておけば、それだけで印象に残る名刺になります。
4.お世話になった方に「挨拶状」を出す
独立は終わりではなく、新しいご縁のスタートです。
- これまでのつながりを大切にする
- 未来の「種まき」になる
- 後日、意外な方からの問い合わせや紹介につながることもある
退職前に、メールアドレスや連絡先はきちんと控えておくとスムーズです。
5.最低「半年分の運転資金」を確保する
これは本当に大事です。なぜなら…
- 独立直後は収入がゼロでも、支出は発生する
- 家賃、保険料、ソフト代、通信費…意外に多い
- 事故や病気など予期せぬ出費もある
最初の1〜2年は「家計の赤字」が前提です。私は家族に心配をかけぬよう、コツコツ資金を準備しました。
6.青色申告は必ず申請する
個人事業主の節税には、青色申告は必須です。
- 最大65万円の控除が受けられる
- 家賃や光熱費の一部を経費にできる
- 赤字の繰越ができる
- 国保の負担も軽減できる可能性がある
青色申告を受けるには「複式簿記」が条件になりますが、最近はクラウド会計がとても使いやすくなっています。次の項目で紹介します。
7.クラウド会計を導入する
事業主の味方、それがクラウド会計ソフトです。
- 領収書をスマホで撮るだけで記帳完了
- クレカや銀行口座と連携して自動入力
- 確定申告、ふるさと納税、医療費控除も対応
- どこでも、いつでも、スマホで確認できる
私は家計管理で「マネーフォワードME」を使っていたので、事業用は「マネーフォワードクラウド会計」に決めました。
8.重要データは「クラウド保存」が鉄則
独立後は、「データ管理」も自己責任です。
- PCの故障、紛失、盗難…意外と他人事じゃない
- データが消える=信頼が消える
- ローカル保存だけでは不十分
クラウド管理を導入して、安心・安全な情報管理を意識していきます。
9.仕事専用の「IP電話」または「固定電話」
事業用の電話番号はしっかり用意すべきです。
- IP電話なら、引越しても番号そのまま
- コストも比較的安い
- 行政書士の場合、まだFAX文化が根強い地域もあるため、固定電話も視野に
迷っている方は、自分の業務スタイルに合わせて選ぶのがベストです。
10.「自宅+シェアオフィス」のハイブリッドが最強
オフィスをどうするかも悩みどころですが…
- 最初は自宅で十分(コストが抑えられる)
- 打ち合わせや登記住所に使えるシェアオフィスも便利
- 契約が柔軟で、初期費用も安い
私も近所のシェアオフィスを見つけて、うまく併用しようと考えています。
11.ネット銀行を活用する
事業用の口座も効率重視です。
- 口座開設が簡単
- 振込手数料が安い
- 複数口座を持って、用途別に使い分け可能
私は楽天銀行と住信SBIネット銀行を活用予定です。
12.仕事専用のクレカを持つ
これは確定申告で苦労しないための鉄則。
- プライベートと分けて管理しやすい
- クラウド会計と連携しやすい
- 経費処理がスムーズになる
13.「差別化」で勝負する
差別化=「そこまでやるか」と思わせること。
- 自分の魅力が磨かれる
- 競争相手が減る
- 価格競争に巻き込まれず、選ばれる存在に
相手の話をとことん聞く、それだけでも立派な差別化になるかもしれません。
14.「やらないこと」を決める
独立直後ほど、つい何でも手を出しがち。でも…
- 自分をすり減らすだけ
- 情報収集や将来設計が後回しに
- 優先順位がブレてしまう
「建設業、農地転用」を主軸に。まずはそこに集中しようと決めています。
15.先輩の「失敗談」をたくさん聞く
これは、成功法よりも学びが多いかもしれません。
- 回避できる失敗は、回避する
- 他人の失敗=自分の予防策
先輩行政書士の話をたくさん聞いて、地雷を踏まないようにします。
16.独自の肩書きで、自分を表現する
名刺やSNSでも問われます。「あなたは何者?」
- 他人との違いを言語化する
- 誰の、何を、どう解決できるのか?
- 記憶に残る肩書きは、それだけで営業ツールになる
私はFP資格も活かして「行政書士/家計見直しアドバイザー」という肩書きも検討中です。
17.1分で伝える「自己紹介」を磨いておく
どんな場でも「あなたは何してるの?」と聞かれます。
- 短く、分かりやすく、印象に残ること
- 繰り返し練習することで洗練される
- 自己紹介が営業になる
押し売りにならず、自然な形で「この人、信頼できそう」と思ってもらえるようにしたいですね。
最後に
個人事業主の世界は、確かに未知の領域です。
でも、「知らないことを知ること」で、不安は少しずつ希望に変わっていきます。
あなたの今後の働き方を考えるうえで、この記事が少しでも参考になれば嬉しいです。
次回は【その2】として、もう少し踏み込んだ準備の話をお届けします。