行政書士開業編

【行政書士開業編】「憧れの行政書士事務所。30年の重みと温かさに触れて」

熊本で建設業許可を代行する行政書士の説明

先日、県庁の建設業許可申請窓口で、偶然にも一人の行政書士の先生とお会いしました。名刺交換の際に住所を見ると、驚いたことに――自宅から最も近い、あの幹線道路沿いの立派な行政書士事務所の先生だったのです。

その事務所は、私が幼い頃から何十年も見てきた、まさに“地元の象徴”のような場所。「一体どんな大物なのだろう」と思いながらも、開業して4ヶ月、はるかにレベルの高い同業者への引け目もあり、ずっとご挨拶に伺えずにいました。後発の立場で「商売仇と思われるのでは」と、要らぬ心配ばかりしていたのです。

ところがその日、思い切って「今度、事務所に伺ってもよろしいですか?」と口にしてみると、先生は笑顔で「どうぞどうぞ」と快諾してくださいました。

幼い頃から見てきた、あの行政書士事務所

後日、菓子折りを手にその事務所を訪問。ご夫婦とお子さんの三人で経営されており、温かみのある雰囲気に包まれていました。

実は私も、「いつか家族で行政書士事務所を営む」という小さな理想を持っています。だからこそ、その光景がとてもまぶしく感じました。奥様は「家族経営はそれはそれで大変ですよ」と笑っておられましたが、代表がA業務、奥様がB業務、お子さんがC業務と、それぞれの得意分野を活かして協力されている姿は、本当に素敵でした。

聞きたかったのは「開業当初の集客」

今回、私が一番伺いたかったのは「どうやって顧客を増やしてきたのか」ということ。なぜなら、開業4ヶ月の今、私自身がまさにその壁にぶつかっているからです。

代表は「もう30年も前の話。時代がずいぶん変わったからね」と前置きしながらも、若い頃はタウンページで片っ端から会社に電話をかけたり、会社を訪問したり、現場を訪問して名刺を配ったりしていたそうです。

「他の行政書士さんが関与しているのは分かっています。ただ、名刺だけは捨てずに取っておいてください。」

どんな小さな接点も大切にする――その姿勢が印象的でした。さらに「打つ手は無限」「待っていても仕事は来ない」「行政書士という職業が危ぶまれた時代もあった」と、力強い言葉をいただきました。

営業訪問では「いま、困っていることはありませんか?」と尋ねるようにしていたそうです。自分のサービスを押し売りするのではなく、相手の困りごとをまず聞く。たとえそれが税金や資金繰りなど自分の専門外でも、人を紹介するなどして解決を支援する。その信頼が、忘れた頃に返ってくる――と語ってくださいました。

「敵ではなく仲間」という視点

「行政書士同士が商売敵のようにお客さんを奪い合う時代じゃない。需要はある。行政書士一人ひとりが自己研鑽し、連携して顧客満足を高めていく。行政書士全体のイメージを上げていくことが大切。」

この言葉に、胸のつかえがスッと消えました。ずっと“競争相手”と思っていた存在が、実は“共に業界を支える仲間”なのだと気づかされたのです。最後に「何かあったらいつでも相談にのるよ」と声をかけてくださり、心から救われました。

そして今、感じていること

その先生も、かつてはお堅い仕事を辞めて行政書士として独立された方。もしかすると、数十年前の自分と私を重ねてくださっていたのかもしれません。

あの日の帰り道、感じたのは――「この世界には、優しさと覚悟、そして希望がある」という感覚でした。

まとめ

開業して4ヶ月。焦る気持ちもありますが、「困っている人に寄り添う姿勢」と「同業者と連携する心」を忘れずに、少しずつでも成長していきたいと思います。