🏗 はじめに
建設業許可の「ヒト」の要件として、経営業務管理責任者と並んで重要なのが**専任技術者(専技)**の存在です。
この記事では、専任技術者になるための「資格」または「実務経験」の具体的な要件や、建設業者が注意すべきポイントを行政書士の視点でわかりやすく解説します。
✅ 専任技術者とは?
- 建設業の技術管理責任者
- 営業所ごとに1名以上、常勤で配置が必要
- 建設業法第7条で規定される「許可の要件」の一つ(ヒトの要件)
✅ 専任技術者になるための方法は2パターン
方法 | 概要 | 対象者の例 |
---|---|---|
資格保有 | 国が定めた国家資格を持っている | 建築士、施工管理技士など |
実務経験 | 資格がなくても、長年の現場経験がある | ベテラン職人、作業責任者など |
🎓 資格保有者の場合(まずここを確認!)
行政書士としてまず確認するのは「資格証を持っているかどうか」。
事業者さんにはこう質問します:
「従業員さんの中に、建設業関係の国家資格などをお持ちの方はいませんか?」
✅ よくあるギャップ
- 建設業界には多種多様な資格が存在
➡ 行政が求める資格と合致しないことが多い - 「○○技能士」「○○講習修了証」は対象外のことも
✅ お願いしたいこと
- 資格証は正式名称・発行元を含めて正確に確認
- 必ず行政書士側で原本確認を行います
👷♂️ 実務経験者の場合(もっとも苦労が多い)
資格がない方でも、一定の実務経験があれば専任技術者になれます。
✅ 原則は「10年以上の実務経験」
- 所定学科卒業者は短縮可(+3年 or +5年)
- 工事内容が、申請する業種に対応している必要あり
⚠ 最大の難所=証明書類の用意
よくある悩み
- 「職人歴10年でも、当時の注文書や入金記録がない…」
- 「経験はあるのに証明できないのが悔しい…」
行政側の基本スタンス
事実があっても、証明できなければ審査できません。
➡ 書類主義の行政ならではの立場です。
💬 行政書士としての所感
- 実務経験があるのに証明できない制度の限界を感じる
- 建設業従事者のキャリアを簡単に証明できる仕組みが必要
- 証明できるかどうかが最大の壁
- 実務経験証明には相応の労力と時間が必要です
📝 証明書類の例(自治体により異なる)
- 工事の契約書・注文書・請書
- 請求書+入金記録(通帳写し)
- 元請けからの工事発注一覧(元請の証明あり)
✅ 常勤性の証明も必要です
- 原則「常勤の正社員」
- 健康保険・厚生年金への加入が証明材料
- 時短勤務、副業・兼業は不可
✨ まとめ
- 専任技術者は建設業許可の「ヒト」の要件の中核
- まずは資格保有者がいないか確認
- 実務経験者は証明書類の用意が最大のポイント
- 書類がなければ申請は困難
- 「経験があるのに許可が取れない」ことを防ぐには、早めの相談がカギ!