🏗 はじめに
建設業許可申請の第一関門といえば「人的要件」――その中でも、最も難易度が高いのが経営業務管理責任者(通称:経管)の疎明だと思います。
「◯年以上の経営経験が必要です」と制度だけ説明しても、相談者にはなかなか伝わりません。
だからこそ、現場感のあるヒアリング力が、行政書士の腕の見せ所になります。
今回は、初回相談時に経管の適格性を把握するための実践的なヒアリング手順をご紹介します。
🎤 ステップ式ヒアリング|実務の流れ
①「御社はこれからどうしたいのですか?」
- 意図:そもそも許可を取りたい目的を確認
- 多くの相談者は、「建設業許可の制度を知りたい」のではなく、「許可を取りたい」のです。
✅ 行政書士は、相談者の目的=「許可取得の動機・背景」に寄り添う姿勢が大切。
②「許可を取りたいのはなぜですか?」
- 意図:急ぎの案件があるのか/元請との関係で必要なのか等を探る
- 例:「元請会社から、◯月末までに許可を取ってくれと言われた」
③「主にどんな工事をされていますか?」
- 意図:業種選定の前提確認。相談者に「業種は?」と聞いても通じないことが多い。
✅ 工事内容を聞き出すことで、該当する建設業29業種を特定していく。
④「御社は設立何年目ですか?」
- 意図:法人設立からの年数で、経管・専技の経歴証明が変わることも。
- 年数によって、法人としてのキャリア or それ以前のキャリアを証明する必要がある
✅ 設立年数と、候補者の在籍期間の整合性も後々重要
⑤「(この人が経管候補だな…)取引先から注文書等はもらっていますか?」
- 意図:建設業を営んでいたことの疎明資料として使えるかどうかの確認
✅ 許可業者経験がない場合(=無許可業者)は、こうした資料が証明の主力になる
⑥「その注文書は年に何件くらいありますか?」
- 意図:建設業を“継続的に”営んでいたといえるかどうかを見極める
- 都道府県のローカルルールによっては「年1件以上」が目安となることも
✅ 都道府県によっては「年5件必要」といった判断もあるため注意
⚠️「じゃあ大丈夫です」とは言わない
ヒアリングで「これならいけそうだな」と思っても、軽々しくOKを出さないのが行政書士の基本姿勢。
✅「わかりました。では、その流れに沿って、次回は実際の資料を拝見させてください。」
という形で、証明資料と照らして判断するスタンスを示すと、信頼感が増します。
✨ まとめ
- 経管ヒアリングは「制度説明」ではなく「実務ヒアリング」
- 専門用語を避け、工事内容や資料の有無などから丁寧に確認する
- 軽々しく「いけますよ」と言わず、事実確認を大切に