🏗 はじめに
建設業許可の申請では、「ヒト」の要件として経営業務管理責任者(経管)や専任技術者(専技)の選任が必須です。
でもその方、前職の会社でまだ登録されたままになっていませんか?
今回は、許可申請の際に見落とされがちな「登録重複の落とし穴」と、その確認・対応方法を行政書士の視点で解説します。
✅ 経管・専技は「重複NG」
建設業許可では、1人の人間が複数の会社で経管や専技を兼ねることは原則できません。
- 経管や専技は、その会社の事業運営や技術管理の中核を担う人材
- 他社でも登録されていると、「常勤」とみなされず要件を満たさない
➡ つまり、前職の会社で登録されたままだと、現在の申請が不許可になる可能性があるのです。
🧐 登録状況の確認はどこがやる?
実は、申請者自身ではなく、役所(許可行政庁)が確認します。
- 国交省や都道府県ごとにデータベースがあり、氏名・生年月日等で照合
- 他社に登録されていれば、審査の過程で引っかかる
※本人も行政書士も「照合できる仕組み」はないため、事前確認が非常に大事です。
⚠ 「前職会社の手続き漏れ」が起こる理由
- 前職会社が退職者を専技・経管から外す届出を忘れている
- 退職時に建設業許可のことまで気が回らなかった
- 小規模事業者で書類の管理体制が曖昧だった
➡ 結果的に、次の申請時に「前職で名前が残っていた」という事態に。
👓 行政書士の対応:前職会社とのやりとり
こうした場合、行政書士が以下のように前職会社へアプローチすることがあります:
本申請を進めるにあたり、貴社の登録状況が問題になる可能性があります。
御社側で届出の漏れがあると、本申請に影響が出る恐れがありますが、ご確認いただけますか?
📝 相談者にも理解してほしいこと
- 行政は「法令違反を摘発する」目的で前職に確認するわけではありません
- 行政の目的は「重複していないこと」だけ
- つまり、本人と前職会社で解決するのが一番スムーズ
💡「登録されていたら許可が下りないの?」
はい、そのままでは許可は下りません。
ただし、前職会社が経管や専技の削除届を提出すれば、申請は可能になります。
➡ 対応がスピード勝負になることも。だからこそ、事前に確認・調整しておくことが大切です。
✨ まとめ
- 経管・専技は他社と重複登録できない
- 行政は重複登録がないか審査時に照合する
- 前職会社の届出漏れは意外と多いので注意
- 行政書士としては、事前確認と丁寧な説明が肝心
- 相談者も「経歴=手続き完了」ではないことを知っておくと安心